この1年間できるだけ読書の効果を高めたくて、
- 付箋を貼る
- 印象に残った言葉を、iPhoneのメモ帳に書き込む
- ページの端を折る(ドッグイヤー)
など、試行錯誤を繰り返してきた。
だが付箋を貼るのは、それ自体が目的になりそう。
メモ帳に書き込むのはいちいちダルい。
ドッグイヤーは楽だけど、読み返すときにどのフレーズがお気に入りだったか忘れる。
そうして試行錯誤を繰り返した結果、やっとスタイルが定まってきた。
ドッグイヤー+印象に残った言葉を赤ペンでかぎかっこするスタイルだ。
書評を書くブロガーとしては、すぐに印象に残ったフレーズを取り出せるこのスタイルが一番ラクチン。
赤ペンって失敗が効かないから付箋みたくペタペタ貼り付けないし、それ自体が目的になることもない。
本を思い切り汚すのが難点だが、むしろ本は汚してなんぼだと思う。
自分色に本を染める喜びを噛み締めながら、読書に勤しんでます。
そして本題。
最近、はあちゅうさんの新刊「言葉を使いこなして人生を変える」を読んだ。
「月刊はあちゅう」のベスト盤的な一冊らしい。読んだことないけど。
ぼくは、はあちゅうさんのブログ、note、オンラインサロンは殆ど見ないけど本は必ず買う派だ。
純粋に彼女の文章が好きで、読んでいる。
はあちゅうさんが書いた半径5メートルの野望 完全版 (講談社文庫)は失恋で苦しんだ大学時代、お世話になったぼくのバイブルの1つだ。
はあちゅうさんが事あるごとに言う「自分以外に自分の人生を変えられる人はいない」という考え方は、「やうゆイズム」の「自分が幸せになることを人任せにしてはいけない」という考え方にも色濃く反映されている。
そして、今回の新刊「言葉を使いこなして人生を変える」も五臓六腑に染み渡る良書だった。
いやぁー、良書すぎてドッグイヤーが止まらなかったわ。
分かるかな?特に後半は怒涛のドッグイヤーラッシュ。
101匹わんちゃんもびっくりな勢いで、ページの端を折りまくった。(全ページ200P)
はあちゅうさんの文章は新しい気づきよりも「これ分かるー!」と心のもやもやを言語化し、共感させてくれるものが多い。
分かりやすい文章で、的確に言葉を心に運んでくれるところは糸井重里さんに通ずるところがある。
ぼくは、難しい言葉の羅列より分かりやすくて温かい文章が好きだ。
特に印象に残った言葉
喪失と自由と救いと
無意識のうちにとらわれていた何かから解放される喜び。
怖さの中から手づかみで取り出す、新しい自分の輪郭。
希望に似ている、でも名前のない何か。
昨日までの自分が死んで生まれる、新しい自分。(47P)
この気持ち、つい先日退職したときに感じたなー。
深く頷きながらドッグイヤーしちゃった。
環境を変えようと最初の一歩を踏み出すのがめっちゃ怖かったけど、いざ踏み出してみると感じたことのない解放感と新しい世界への楽しみが待っていた。
言葉が作る都合の良さ
それを聞いて、たしかに、「言葉を与えられたことで、社会の中で居場所ができてしまい、それがいい結果になっていないシーン」ってあるなぁと思った。(53P)
(中略)アスペルガーという言葉がこれだけ、社会の中で浸透して、それはたしかにこれまで辛かった誰かの居場所をつくったのかもしれないけど、その言葉によりかかって、自分を向上させる努力をしないのは違うと思うし、開き直るなんてもってのほかだと思うの。(54P)
全く空気の読めない男が「俺、アスペだから」と開き直って反省しないことに対する一言。
ぼくも字が下手だったり落ち着きがないことを「ADHDだからさ」と言ってしまうことがあるので深く反省。
単語に萌えるということ
知っているはずの言葉の新しい使い方や魅力に出会うと、恋に落ちた気分になる(133P)
そっか、俺が今まで素敵な文章を見つけたときに感じていた文字キュンの正体は、単語萌えだったのか。。
本読んでると「この一行に出会えたから、この本買って良かった!」って思う瞬間があるよね。
無責任な書き手たち
物を書くということは、小さな国をつくる作業みたいだと時々思う。
自分の倫理観と理想に他人を引き込む行為だ。
引き込んでいて、読者を救う意図は全然なく、引き込むことによって得るのは、自分の魂の安らぎだったりして、書く人たちって本当に無責任なのだ。(174P)
思わず目を見開いたよね。
目から鱗すぎて、写輪眼開眼するところだった。
俺がブログを書いてる究極の目的って、これなのかもしれない。
自分の倫理観と理想に他人を引き込むことに快感を感じることで承認欲求満たしてるんだなって気づいた。
場所に依存する生き方(おまけ言葉メモ)
『メンタリスト』というドラマの中に「小さな町じゃ友達は選べない」っていうセリフが出てくるんだけど、この感覚すごく分かる。
友達を選びたいなら町を出ればいいだけなんだけど、子どもの頃はそんなことできっこないって思っていた。
今いる場所にこれからもずっといるだろうっていう思考停止が生きづらさや間違いを生む。(196P)
この言葉を見たとき、子供の頃の閉塞感を思い出した。
クラスが決まったら年単位でそこから逃れられない。
特に高校時代は虐められていた訳ではないが、気の合う人がいなくて毎日辛かった。
だから早くこの環境から抜け出したかった。
あの時、思考停止しなくて良かったと心から思う。
一章が短いからエッセイのような感覚でさくさく読み進められます。
はあちゅうさんの本は読みやすいので、読書初心者の方におすすめ。
沈んだときに思わず手に取りたくなるような、素敵な本だった。